先生は企業の生存率をご存じでしょうか?
調べてみると、以下のような内容の記事が数多く見られます。
"国税庁の調査によると、5年続く企業はわずか14.8%、そこから減少を続けて30年後には0.025%しか生き残ることができない"
生存年数 | 5年 | 10年 | 20年 | 30年 |
---|---|---|---|---|
生存率 | 14.8% | 6.3% | 0.4% | 0.025% |
例えば、1つの商圏に接骨院が10院あった場合、5年後も経営を続けることができている院は1~2院ということになります。
この衝撃的な数字を見ると、経営を続けていくということの難しさがわかります。
会社を潰す要因は大きく分けて以下の4つです。
それぞれについて解説をしていきます。
社長/経営者は、①ビジョンを創る ②教育する ③評価する ④進捗管理する ⑤会社をつぶさない、などを理解して会社経営をする必要があります。(この5項目については別の機会に詳しく説明させていただきます。)
また、公私混同が起こらないように、会社と個人の線引きを明確にすることも重要な責務です。例えば、公私混同した経営者が個人的支出を会社の経費で落とし続けた場合、社員の反発を招くだけではなく、度が過ぎると地域住民の噂にもなって会社の信頼を失墜させることになりかねません。
仮に、店舗と家屋が一緒になっているような構造の建物でも、きちんと分離して管理しておくことをお勧めします。
昨今の新型コロナウィルス感染拡大によって、多くの店舗が経営難となり、経営破綻した例も少なくはありません。業績が悪化している時期を耐え凌ぐための資産を準備するには、試算表・資金繰り・収支計画 等の作成及び改善と、金融機関との連携が必要になってきます。
特に、金融機関との関係作りには明確なストーリーを作っておくことが重要です。
オーナー自身が「なぜこの会社を立ち上げたのか」、そして「現在どうあって、将来どうなりたいのか」を「具体的な数字」をベースに伝えなければなりません。
自分の想いばかりが先行しても、自分のビジョンばかりを伝えても、「それで、いくら儲かるのか?」、「ちゃんと返済はできるのか?」という金融機関の質問に答えられなければ意味がありません。明確なストーリーと具体的な数字。この2つをきちんと用意して説明が出来るようにしておく必要があります。
生物の進化と同様に、時代の流れによる環境の変化に対応できない企業が、生き残ることは困難です。
接骨院の場合、これからの時代に必要とされるポイントは2点あります。ひとつは、「患者様の満足度を最大化させる自費施術を導入すること」、もうひとつは「院における1分あたりの生産性を高めること」です。
1分当たりの生産性については、目安となる基準として1分150円(税別)以上※を推奨しています。これを実現するには、慢性疾患と急性亜急性の区分を明確にできる商品(施術メニュー)が必要です。
また、接骨院業界においても、働き方改革が求められています。労働時間、有給休暇、休日数、福利厚生、などの各種制度を用意することで、社員にとって魅力的な業界に変化する必要があります。
※当社基準の推奨金額東京商工リサーチによれば、2019年の人手不足関連倒産は426件で、2013年に調査を開始して以来の過去最多を記録しました。人手不足関連倒産とは、企業が事業を継続するために必要な人材を確保できないという理由で倒産に至る現象のことです。
それが全ての原因ではありませんが、社員が「働きたいと」思えれば、防ぐことのできる現象でもあります。
社員に主体的に働きたいと思わせるには、その会社が「社会的に存在意義を持ち」、「成長できる」、「お金を稼げる」、「役職が上がる」、「幸せになれる」という要素を持っていなければなりません。そのために、働きがいのある環境を提供し、従業員満足度を向上させるのは会社の重要な役割です。
出所:東京商工リサーチ 2019年「人手不足」関連倒産経営における成功要因には、必ずしも「決まった1つの答え」があるわけではありません。成功は、経営者の理念や能力、スタッフのスキルや熱意などの条件が複合的に重なることで生まれます。
しかし、失敗、特に会社が倒産するような大きな失敗は、再現性の高いものになります。
なぜなら、会社が倒産する要因はご紹介した4つに大きく分けられ、そしてそれは、業種や職種を問わず、あらゆる業界に当てはめることが出来るものだからです。
もちろん、接骨院も例外ではありません。
2019年には全国で8,383社が倒産しており、そのうちの74.0%が従業員数5名以下の中小企業となっています。毎年それだけの失業者が倒産によって生まれているということになります。
出所:東京商工リサーチ「全国企業倒産状況」この記事を読んでいる先生ご自身はもちろん、ご家族や従業員の生活を守るためにも「会社を潰す4つの要因」にご自身の院が当てはまっていないか照らし合わせてみてください。
院を経営する大きなヒントとなるかもしれません。