保険施術を継続しつつ自費施術も導入することで、より多くの患者様のニーズに応えられるようになります。結果として、患者数や単価が増加して療養費の減少をカバーできたといった院も増えてきています。
しかし、自費メニューを導入したものの売上アップに成功していない院が存在するのも事実です。
この記事では、これまで4,020院以上※の接骨院のサポート実績から作り上げられた、自費メニューの導入方法について解説します。
※2022年3月時点
打撲や捻挫で苦しんでいる患者様が、お手軽な料金で施術を受けられるのは保険施術の大きなメリットです。
しかし、柔道整復分野の療養費は減少傾向にあり、さらに新規の患者様を増やすことも難しい状況にあります。
今や自費メニューの導入は、接骨院にとって避けて通れない課題となっています。
厚生労働省の「令和2年衛生行政報告例」によると、全国の接骨院の数は令和2年の時点で50,364院あります。これは平成12年からの20年間で2倍以上になっている計算です。
それに対して「患者数も2倍以上になるのか?」というと、それは期待できません。総務省の出しているデータによると、日本の人口は平成22年から減り続けており、今後数十年にわたってその傾向は続くと予想されています。
療養費についても、業界にとって厳しいデータがあります。厚生労働省の発表によると、柔道整復分野の療養費は平成23年をピークに、徐々に減少しています。
1院あたりの療養費に換算すると、平成22年から平成30年までの8年間で400万円以上も減少している計算になります。
これは、上記に記載した「1院あたりに見込まれる患者数の減少」も大きな原因の1つと想定されるため、こうした傾向は当分続くと思われます。
こうした業界の変化の中で生き残っていくためには、院の運営スタイルや考え方も、変化に合わせて変えていかなければなりません。そのための有効な手段の1つが自費メニューです。
療養費と患者数の減少により年々厳しい状況になっているはずですが、窓口単価を上げ続けている院も数多くあります。
この窓口単価の年間平均は平成28年から令和3年までで、約80%も増えているというデータがあります。
窓口単価とは、患者様が一度の来院で支払う金額です。
保険の受領委任分を含めず、窓口で患者様が実際に支払う金額を指します。
つまり、療養費が減少している中で窓口単価がこれだけ増えているということは、それだけ自費メニューの提供が進んでいるということになります。
接骨院が自費メニューを導入することで、療養費の減少をカバーするだけではなく、売上も伸ばせるということが期待できます。
一言で「自費メニュー」と言っても様々な種類があります。後述しますが、院の運営方針や客層によって導入するべき自費メニューが異なります。
そこで、ここではどのような種類の自費メニューがあるのかをメリット・デメリットとともにご紹介します。
●メリット
基本的に専用器具が不要です。技術があれば、初期コストを抑えてすぐに始めることができます。
●デメリット
参入障壁が低いため、ライバルも多くなります。また、施術者本人の技術力がより求められます。
●代表的なメニュー
■全身矯正
■骨盤矯正
■産後骨盤矯正
■頸部矯正
■腰部矯正
■猫背矯正
■O脚矯正
■小顔矯正
■SOT
●メリット
ニーズが広く、扱いやすい特徴があります。通常の施術との親和性が高く、延長線上でお勧めしやすいでしょう。
●デメリット
専用器具への初期投資が必要になるメニューもあります。
●代表的なメニュー
●メリット
メニューのアレンジをしやすく、見せ方によっていろいろなバリエーションを作ることもできます。
●デメリット
鍼灸師がいなければ鍼施術はできません。どうしても個人に依存してしまうため、長期の継続ができないことも考えられます。
●代表的なメニュー
●メリット
女性を中心に人気が高く、既存患者様だけでなく、新規患者様獲得も期待できます。
●デメリット
多くの場合、初期投資が必要になります。また、通常の施術とは異なるジャンルになるため、勧め方の難易度が高くなります。
●代表的なメニュー
●メリット
長期的に健康な身体をつくる人気の高いメニュー。 プログラムによって、様々な年代にも対応できます。
●デメリット
ある程度の広さが必要になる場合もあります。 また、運動に対するより深い知識が求められます。
●代表的なメニュー
●メリット
技術を必要としないため、使い方さえ覚えれば誰でも同じレベルで施術ができます。
●デメリット
初期投資を必要とするメニューが多いです。
●代表的なメニュー
●メリット
誰でもすぐに始めることができます。
●デメリット
役務提供になりがちです。 施術時間に対して料金設定する場合が多く、 効率は良くありません。
●代表的なメニュー
Dr.メドマー、吸玉、外反母趾、巻き爪、などがあります。
いくら自費メニューを導入したからと言って、それが患者様にとって受けたいメニューでなければ意味がありません。
また、患者様が受けたいと思っても、そこに再現性や生産性がなければ院として継続していくのは難しくなるので注意が必要です。
患者様に自信を持って提供できるメニューを選びましょう。本当に良いものだと信じられるものであれば、スタッフも本気になります。逆に、半信半疑では患者様へ勧めるときにも、どこか消極的になりがちです。
どんなメニューでも、最後は患者様にご利用いただき、そのうえで満足していただくことが重要です。
既存の患者様に、いままでになかったメニューを提供することで、客単価のアップが期待できます。矯正に力を入れていた院であれば、矯正後の維持のために筋トレ(EMS)メニューを加えるのもいいかもしれません。
また、今まで取り込めていなかった客層に響く 新メニューがあれば、レセ枚数が増えます。
オフィス街にありながら女性の患者様が少ない場合などは、美容系メニューを導入することで、新しいターゲットを集患できる可能性が高まります。
自費メニューは導入して終わりではありません。スタッフが施術できる状態にして、患者様に利用していただき売上に繋げるまでが自費メニューの導入です。
そのために必要な事前準備や患者様にお勧めする方法を解説します。
機材を使う自費メニューの場合は購入資金が必要ですが、操作方法の習得はそれほど時間がかかりません。機材によってはボタン一つで施術が行えるものもあります。
逆に、機材を使わない自費メニューの場合は技術の習得が必須です。セミナーの受講や他院で研修を受けるなどの方法があります。
どちらにしても、お金や時間というコストが発生します。これは、自費メニューで売上を作るための投資になるので、必ず回収するつもりで行ってください。
自費メニューを導入する際に、「売上のために柔整師になったんじゃない」という声が現場スタッフから聞こえてくることがあります。
もしくは、この記事を読まれている先生ご自身がそういった考えをお持ちかもしれません。自費メニューの導入には、そういった意識を事前に改革しておくことも必要です。
まず、知っておいていただきたいのは「売上とは今現在の患者様満足と期待を表わす指数」だということです。
患者様がいったい何の対価としてお金を払っているのかというと、それは施術に対する満足であったり、これから症状が良くなっていくことに対する期待であったりします。
つまり、売上に興味がないというのは、患者様に満足いただかなくてもいい、患者様に期待されなくていい、そう思っているのと同じことです。
しかし、本気でそう思っているスタッフはいないと思います。みなさんは患者様のためを思って施術しているはずです。
自費メニューのPRは、患者様が1,000円以下の負担で施術を受けられるような保険適用のメニューとは考え方を変える必要があります。
極論ですが、PRしなくても保険適用されるメニューは必要とする患者様は受けたいと思ってくれます。
しかし、自費メニューは「必要だ」と感じる患者様を作るところからがスタートになります。
接骨院業界に限った話ではありませんが、価格が上がれば上がるほどその商品を購入するという判断のために必要な情報量は増えていきます。
1万円の自転車と1,000万円の車では顧客の求める情報量は変わってきます。当然、売り手もそれに合わせてパンフレットやWEBサイトなどで価格に合わせた情報量を提供しています。
自費メニューは保険適用のメニューと比較して何倍もの金額になる場合があります。販売する際には、その分の情報量を説明資料やホームページなどで患者様へ提供する準備が必要です。
導入するメニューによって、お勧めするポイントは異なります。ここでは、共通して使える重要な考え方をお伝えします。
お勧めするスタッフが不安気に話していては、患者様も心配になってしまいます。
まずは自身が提供するメニューをよく理解し、しっかり患者様に説明できるようにならなければなりません。
自費メニューを導入しても売上を増やせない院の多くはこの部分を疎かにしているため、患者様にメニューの紹介をすることすらできていない場合が多々あります。
なぜそのメニューをお勧めするのか、その理由を明確に伝えましょう。それぞれの患者様には何らかの悩みがあり、先生はその悩みを解消するために提案をしているはずです。
一時的な矯正をするもの、長期的な維持のためのメンテナンスなど、患者様に順を追って説明し、理解してもらうことが重要です。
人は皆、未知のものに不安を感じます。自費メニューは、できるだけ体験をしていただくことで、心理的ハードルが下がります。体験をしていただく場合には、以下の2つのポイントがあります。
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①違いが体感できるものを提供すること
②体験後に感想を引き出すこと
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そのために、体験メニューの工夫と、体験後のトークが重要です。
自費メニューは無料体験で集客することをお勧めします。上記でも記載しましたが、人は皆、未知のものに不安を感じます。
特に形が見えない無形商材は、その価値が事前に分かりづらく「買って損をするのではないか」という感情が先立つ傾向にあります。
その対策として、無形商材を販売する際には無料体験や割引プランなどで低リスクで体験してもらう手法が効果的とされています。
AmazonプライムやYouTube Premiumなどが無料体験をさせる無形商材の代表例。
療養費と患者数の減少から、自費メニューの導入が接骨院には求められています。しかし、単純になんでもいいから導入すれば売上になるというわけではありません。
複数ある自費メニューの種類の中から、運営方針や客層などの条件に合ったものを選ぶ必要があります。また、導入と同時進行で患者様にPRする方法を考えることで良いスタートが切れるはずです。
導入した自費メニューの料金設定については、以下で詳しく解説しています。
患者様も納得!接骨院の自費メニュー料金設定
こちらの記事もお読みいただければ幸いです。
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※2022年3月時点
院ごとの課題や周辺環境も踏まえたうえで、最適なメニューの選定、現場スタッフの技術習得や意識改革、患者様にメニューを進める際のトーク内容の作成など、院の売上に繋げるまでを徹底的にサポートします。
どのようなサポートが最適なのかを判断するために、まずは弊社の専門コンサルタントが現在の状況や課題などについて個別相談を行います。
個別相談は無料ですので、なにかアドバイスが欲しい、他社の話を聞きたいといった場合でも、お気軽にお問い合わせください。